photo 関西私立芸大美大の入試 (2021年度入試)

※注:コロナ禍の影響により実施時期等の変更もあり得ます。詳細は各大学HPで確認するようにしてください。

松尾美術研究室  
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  1. 大学、短大
  2. 2021年度入試からの変更点
  3. 入試の特徴
  4. 9月、10月実施の総合型選抜(体験授業方式、旧AO))入試
  5. 11月頃実施の入試(旧公募制推薦)
  6. 一般選抜入試、共通テスト利用入試
  7. 授業料減免の入試
  8. 対策



大学、短大
●関西にはたくさんの美術系私立大学があります。4年制では京都精華大学、成安造形大学、嵯峨美術大学、神戸芸術工科大学、大阪芸術大学、京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)があり、短大では嵯峨美術短期大学、大阪芸術大学短期大学部、奈良芸術短期大学があります。大阪成蹊大学、大手前大学にも美術系の学部があり、近畿大学にも美術系の学科があります。各大学共に細かなニーズに合わせた編成になっていて、マンガ、キャラクター、映像、イラスト、舞台美術など、国公立大にはない専門の学科もあります。(また、ファッション、映像、建築等、入試に実技のない美術系学科のある大学もあります)。
少子化の影響により各大学とも受験者数は減少していますが、ビジュアルデザイン・イラスト系の学科やマンガ・キャラクター系の学科など、依然として高倍率の学科もあります。受験生の選択の幅は広がりますが、細分化されているがゆえに大学や学科・コースの選択に迷うところもあると思います。


2021年度入試からの変更点
●最大の変更点は、これまで8月から実施されていた旧AO入試が9月からの実施になることです。もう一つは名称が変更されたことですが、文科省によりますと、旧AO入試が「総合型選抜」へ、旧推薦入試が「学校推薦型選抜」へ、一般入試が「一般選抜」へ、センター試験利用入試が「大学入学共通テスト利用選抜」へ変わるということでした。
しかし学校長の推薦が必要な「学校推薦型選抜」を行わない大学もあり、実際には11月実施の旧推薦入試を「総合型選抜」と呼び換えた大学もあれば「一般選抜」と呼び換えた大学もあります。同じ「総合型選抜」という名前でも体験授業もあれば実技試験や面接方式もあり、専願もあれば併願もありと、混乱を招いている状況です。

入試の特徴
●関西美術系大学に特徴的なのは、9月実施の総合型選抜入試(体験授業方式)で募集人員のおおよそ半数を取るということです(京都精華大学は30パーセント前後)。入試が1年のうちに何度もあり、1つの大学で10回前後実施されます。たくさんの回数があればあるほど1回の入試で合格する人数は少なくなるので、10月以降の入試では、募集人数が10パーセント以下だったり若干名だったりと極端に少なくなるケースがあります。※以下、入試別に内容をまとめましたが詳細は各大学の募集要項で確認してください。

9月、10月実施の総合型選抜(体験授業方式、旧AO) 入試
●昨年までのAO入試にあたります。この入試は、体験授業やワークショップを通じて「大学が受験生を査定するだけでなく受験生も大学を査定する」という趣旨の入試制度です。早ければ9月中に実質的な合否が決定します。
この入試では、まずエントリーをして体験授業や面接などを受けます。大学側は入学してほしい受験生に「出願可」の通知を出しますので、入学したければ出願します。出願すれば、その時点で合格となり、後に合格通知が来ます。専願ですから合格すれば必ず進学しなければいけません。もし入学したくないのであれば「出願可」をもらっても出願をしないようにします。出願しなければ受験料も発生しませんし、結果として無料で体験授業やワークショップが受けられたことになります。この入試が専願になるのは出願した時点ですので、体験授業を受けるエントリーの時点で専願を気にする必要はありません。
体験授業の内容は各大学・科によって異なりますが、受験生の取り組む姿勢やコミュニケーション能力などを見ているので完成された技術や結果で判断される訳ではありません。


11月頃実施の入試(旧公募制推薦)
●各大学ともに旧公募制推薦としての入試を11月頃に行います。この入試では総合型選抜入試という名称でも9月10月実施の入試とは違って専願ではなく併願になります(大阪芸大では一般選抜入試1期の名称)。募集定員も9月10月入試の次に多いので、国公立大や関東系私立大を第一志望の人が第2第3志望として受験する場合はこの入試で合格しておきたいところです。実技試験が課せられることが多くなりますが、一部を除けばデッサンだけの1課題だけで受験できます。選択で国語、英語などの学力試験や小論文、面接がある場合は、得意ならば選択してそれで受験することもできますし、不得意ならば外すことができます。面接方式では作品やポートフォリオを持参してのプレゼンを含めた試験になります。学校推薦型選抜入試の名称の場合、指定校推薦型(嵯峨美術大学、京都精華大学)では指定校以外からは受験できませんが、京都精華大学では公募制の指定校推薦型入試もあります。高校の推薦書が必要となり、A日程では調査書+面接で、B日程では学力、小論、デッサン、イメージ表現から選択しての受験になります。

一般選抜入試、共通テスト利用入試
●一般選抜入試は2月初旬頃から実施され(大阪芸大は11月から)、試験内容は11月頃の入試と同じようなあり方です。(関東系私立大の一般入試では国語、英語などの学科試験が必須なので注意)。 共通テスト利用入試は、共通テスト試験の点数だけで合否が決まるタイプと、実技試験との合計で決まるタイプとがあります。

授業料減免の入試
●大学によって名称は異なりますが、授業料が大幅に減免される入試があります(大阪芸術大学、大阪芸術短期大学部、成安造形大学、嵯峨美術大学、嵯峨美術短期大学、神戸芸術工科大学など)。授業料が高額ゆえに私立大を敬遠している受験生にはチャレンジする価値がありますが、いずれも入試のレベルは非常に高くなります。

対策
●関西私立大が第一志望の受験生は、志望校・科にまだ迷いがあったとしても、9月10月実施の総合型選抜(旧AO、体験授業方式)入試から受験してください。この入試は無料で体験授業やワークショップが受けられる機会なので、第一希望かどうか迷っていても気になる大学であれば、その大学を知る機会として積極的に利用できます。それに、この入試で募集定員の半数ほどを採り、一般入試では募集定員の10~20%ほどしか採らないのが現状なので、9月~11月実施の入試で合格を決めておきたいところです。

●国公立大や関東私立大が第一志望だが浪人ができないなどの理由で関西私立大も併願する受験生は、11月の入試で合格できるように計画をします。その場合でも総合型選抜入試にエントリーして体験授業を受けることはできますが、専願なのでそこで合格を決めることはできません。また、一般選抜入試は国公立入試の直前の時期になるので、なるべく避けたいのです。

●実技が必要な入試でもデッサンだけで受験できるケースがほとんどですので、しっかりとデッサンを鍛えておくことも大切です。

●早く志望校を絞ると合格もしやすくなります。関西私立大では例年春から9月くらいまでオープンキャンパスが催されますが、今年度はコロナ禍の影響でリモートのオープンキャンパスのケースも多いようです。事前予約制の場合もあるので注意してください。志望大学や気になる大学には積極的に参加してください。

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